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vol.3 猪子 寿之(チームラボ株式会社 代表取締役社長)

猪子 寿之 チームラボ株式会社 代表取締役社長 「みんなの仕事場」ロングインタビュー 経営者のオフィス戦略 チームラボ株式会社 猪子 寿之 代表取締役社長

vol.3 2009年4月10日

 徳島市出身。 1年間の渡米を経て、01年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業、代表取締役に就任。04年、東京大学大学院情報学環中退。大学では、確率・統計モデルを、大学院では、自然言語処理とアートを研究。ブランドデータバンク取締役、産経デジタル取締役を兼任。

vol.3 2009.4.10 Team Lab Inc. TOSHIYUKI INOKO

オフィス風景

 

企業理念
 ★ 高いテクノロジーと豊かな文化を創造し、日本再生を担う活動。
 ★ 常に新しいことにチャレンジし続けるおもしろラボの建設。
 ★ 世界で活躍できるチームを目指し、次の世代への実際的な啓蒙。


国産“オモロ”検索エンジン「SAGOOL」、産経新聞社のブログで楽しむニュースサイト「iza」(Web of the year 新人賞)、KDDI au design projectチームラボのケータイ「actface」、2008年経済産業省 情報大航海プロジェクトに採択された実験サイト次世代動画検索サービス「サグールテレビ」公開など、WEBシステムインテグレーションや検索エンジン・レコメンデーションエンジンなど最先端技術の開発から、近年ではフランス パリ ルーブル宮内にデジタルアートのインスタレーション作品を展示するなど、海外の展覧会に多数参加しアート活動や3DCGアニメーションまで幅広い活動を行うチームラボ株式会社。猪子氏の母校・東京大学に近い文京区に位置する同社のオフィスは、チームラボのクリエイティブチーム「TEAMLAB★NET」のメンバーと、「TEAMLAB★OFFICE」の建築家・河田将吾氏によってデザインされたもの。ウルトラテクノロジー集団のどこにも似ていないオンリーワンのオフィス、そのコンセプトについて猪子代表に伺った。

 

黄色い壁に音楽ショップのように並ぶCDジャケット、同社の社員一人一人がユニークな仮装をほどこしグラフィックデザインされ、社員紹介になっている。

黄色い壁に音楽ショップのように並ぶCDジャケット、同社の社員一人一人がユニークな仮装をほどこしグラフィックデザインされ、社員紹介になっている。 >>詳しく見る

8角形の形をパーツにして、レイアウト変更の時などパーツを組み合わせて自由な形に組み立てることができる棚。

8角形の形をパーツにして、レイアウト変更の時などパーツを組み合わせて自由な形に組み立てることができる棚。 >>詳しく見る

カラフルなミーティングスペース。4コマ漫画のテーブルなどオリジリティーあふれる家具が並ぶ空間だ。

カラフルなミーティングスペース。4コマ漫画のテーブルなどオリジリティーあふれる家具が並ぶ空間だ。 >>詳しく見る

「TEAMLAB★OFFICE」のメンバーである建築家の河田将吾氏にもインタビューに参加いただいた。

「TEAMLAB★OFFICE」のメンバーである建築家の河田将吾氏にもインタビューに参加いただいた。 >>河田氏ご自身のオフィス紹介はこちら

「めもですく」天板が分厚いメモ帳になっている机。フラットな関係で、自由にディスカッションができる。

「めもですく」天板が分厚いメモ帳になっている机。フラットな関係で、自由にディスカッションができる。 >>詳しく見る

「はだいす」すべて座面素材の違うスツール。ふわふわ、すべすべ、もこもこといった感触。変わりたい気分に合わせて選ぶイス。

「はだいす」すべて座面素材の違うスツール。ふわふわ、すべすべ、もこもこといった感触。変わりたい気分に合わせて選ぶイス。 >>詳しく見る

黄色い壁に赤い床、デスクワーク中は目に入らないが、オフィスを移動する際に、飛び込んでくる色がコミュニケーションを活性化させる。

黄色い壁に赤い床、デスクワーク中は目に入らないが、オフィスを移動する際に、飛び込んでくる色がコミュニケーションを活性化させる。 >>詳しく見る

開発したばかりの受付システムを説明してくれる猪子代表。ちょっと触らせてもらいましたが、iphoneのように気持ちよいタッチパネル式で、顔写真を見ながらアポイントした担当者が選べる。

開発したばかりの受付システムを説明してくれる猪子代表。ちょっと触らせてもらいましたが、iphoneのように気持ちよいタッチパネル式で、顔写真を見ながらアポイントした担当者が選べる。 >>詳しく見る

猪子代表

 

カラフルな色使い、オリジナルの収納やテーブルや椅子など、すごくユニークなオフィスですが、こだわりポイントを教えてください。

猪子 情報化社会に向けた次世代オフィスになるための、6つのポイントで構成されています。

 1. 壁を壊せ。可変的な環境をつくれ。
 2. 自由な意見が出せるフラットな環境をつくれ。
 3. 身体性を大切にせよ。
 4. 色を活用せよ。
 5. 偶然出会える場をつくれ。
 6. 選べる環境をつくれ。


6つのポイントを1つずつお聞かせください。

<1. 壁を壊せ。可変的な環境をつくれ。>

猪子 情報社会っていうのは、凄い複雑になっていて進歩が激しいので、全部を分かってる人はいない。例えばWEBのテクノロジーをとってもインターフェイスのデータベースから、サーチエンジニアリングのアルゴリズムの数学や、インフラの技術までを完璧に分かってる人は世界中に1人もいないと思うんですよ。

だからこそスペシャリティーが違う人達がフラットな関係で共に考え共に作る環境が必要なんです。例えばiphoneとかWiiとかって、「気持ちいい」とか凄い重要じゃないですか。その感覚は触って体感しないと分かんないから、スペシャリティーが違う人達が集まってブレインストーミングしてプロトタイプを作って、自分で触って体感してみる。絶対一緒に作った方がいいんですよ。

だから、1個のプロジェクトに対してデザイン担当や、コンサルタント担当、開発部やネットワークチームからも人が入ってチームが生成されるんです。ウチのオフィスはそのチームごとで固まってるんですよ。プロジェクトの期間はそれぞれクライアントとの関係で決まるから、席替えが週4回位いろんなところで発生してます。

そのためにはオフィスも可変じゃないとだめ。空間の為に組織があるわけじゃなくて、組織が仕事のパフォーマンスをもっと上げる為に空間があるわけじゃないですか。自由に変われるっていう環境が必要。例えば壁がどうしても必要な時もあるけれど出来るだけ無い方がいい。それなら壁は可変であった方がいいと思っても、そういうオフィス空間を作ってくれる所や必要な家具が当時無かったりして、我々で作るしかなかった。(社内の棚を指し)あれ、ブロックの部品で出来てるんですね。だから誰でも自由な形に出来て、自分の近くに棚が必要だったら簡単に取って持って行けるんですよ。

猪子代表

 

<2. 自由な意見が出せるフラットな環境をつくれ。>

猪子 スペシャリティーの違う人同士が共に考える為には、フラットじゃないとだめ。一昔前だと全部分かってる上司がいてトップダダウンで済んだかもしんないけど、今は、インターフェイスの事はインターフェイスのプロが一番分かっていて、データベースの事はデータベースのプロが一番分かってるわけですよ。でも、そこは分断されてるわけではなくて繋がってるんですよね。だから全員で共に考えなきゃいけない。

iphoneで言うと、あのデザインは実はインターフェイスのことですよね。デザイナーはどこまでやって、エンジニアはどこまでやったとかわかんない。境界線はすごく曖昧。でも専門性は凄い深い。だから会議で、デザイナーはこうなんです、エンジニアはこうなんですって別々に聞いてもしょうがないですよね。

前のオフィスでは会議室の壁をホワイトボードにしたりしたんですよ。それはそれで便利なんですけど、でも、全然違うなと。ホワイトボードを使ってる会議を見ると、一人が話してあとのみんなは聞くって状況になってるんですよ。全然良くないですよそのディスカッション。スゲーいいディスカッションになった時には、みんなホワイトボードの前に立って、ペンを奪い合いながら一緒に書いてるんですよ。ただ、それって相当モチベーションいい状況にならないとちょっとおきにくいから、あっなるほど、机がそうだったらスゲーフラットだな、と。それで「めもですく」を作ったんですよね。

僕の言ってる事って僕だけじゃなくて世界中の人が言ってるんですよね。社会は変わったじゃないっすか。だから組織も超変わらざるを得なくて、組織が超変わったから、空間も変わらざる得ない。「めもですく」って今世界で紹介されまくってるんだよ。なんの宣伝もしてないんですよ。商品としてちゃんと出してる訳じゃないのに、ジャパンタイムズで紹介されて、世界中のブログにバンバン貼られてるんですよ。口コミで。

<3. 身体性を大切にせよ。>

猪子 ちょっとわかりにくい話なんですけど、身体性を大切にしようというコンセプトがね、必然的に生まれてきたんですよね。やっぱ人間って凄い感情的な動物で、美しいとか気持ちいいとかの感情が凄い大事で。お風呂入ったら気持ち良くなるじゃないですか、絶景見ると爽快感出るじゃないですか、理性は感情に対してほとんど力が無いと思っているけれど、実は理性的に環境を選ぶことによって、感情とかテンションはコントロール出来るって事ですよ。

(「はだいす」を指して)あの椅子は全部、座った感覚が全然違うんですよ。これ以外に畳のベンチとかも作ってるんですけど、これも身体感覚が急に変わる。例えば会議のときには違う椅子を選べば、その身体感覚でいつもとちょっと違うアイデアが生まれるかもしれない。

猪子代表と河田氏

 

<4. 色を活用せよ。>

猪子 これはね、もっと分かりやすい話で、大体オフィスってグレー1色とか白と黒とかのモノトーンだし、美術館とか真っ白じゃないですか、なんかやっちゃいけない事いっぱいありそうみたいな、思いません?小声で喋るじゃないですか美術館って。緊張感出ませんか。

でも、さっき言ったみたいに身体性や環境次第で感情とかテンションをコントロール出来るから。色を凄い意識的に使って、エレベータから床の色を真っ赤にしてるんですけど、会社に入った瞬間何か子供の遊び場に来たような、ちょっと高揚して自由な気分になるじゃないですか。なんないですか?黄色とか、ここはフーリッシュになってもいいみたいなとか。ここそんな小声で喋らないでしょ。もう幼稚園ぐらいですよ、ウキーっとか。

でも本当は意味があって、黄色とかオレンジっていうのはコミュニケーションが活性化するんですよ。ただデメリットもあって、高揚はするんですけど、長期的な集中力が下がるんですよ。なんで、業務空間に行って座ると実は黄色とか赤って目に一切入ってこないんですよ。でも立った瞬間、バッて入ってくるようになってますよ。

<5. 偶然出会える場をつくれ。>

猪子 喫煙所で煙草吸って雑談してる時に、お前オモロイ意見持ってンじゃん何で言わないんだよ、って案外ありません?オフィスって仕事の為に集まってるわけだから、共通の話題って仕事なんですよね結局。ほっといても仕事の話する訳ですよ。会議室でみんな集まるときは、どうしても正しい事しか言いにくいけど、雑談だから気軽に情報交換できたり、ディスカッションできる。そういうオフィシャルな場っていうのは凄い必要なんですよ。

プリンターとかコピー機を一箇所に集める。それから印刷を待つ場所と、お茶とかコーヒーを自由に作れる場所やトイレへの道を合わせる。そうするとそこでプロジェクトや組織を跨いでみんなが偶然出会って情報交換できる。最近どう?とか、最近これやってて、とか、あっそのネタちょっと使わせて、とか。

逆にルールにするのは難しいですよね。ルールで決めるよりも逆に、みんなでなんとなく上手く環境を整えて、話もなんとなく上手く行くみたいな感じで、なるべくルールを作らず、主観的な意見が出やすい寛容な会社をデザインしたい。

<6. 選べる環境をつくれ。>

猪子 生産性やクリエイティビティを少しでも上げたい、付加価値を生みやすくしたい。そのために、自分で選べる環境、主観的な環境を用意しておく。自分で選んで環境を変えてそこで仕事したりとか、本当は光とかも自分で選べたりした方がいいと思ってるくらい。

僕は人の能力ってそんなに差がないと思ってるんですよ。だって狼に育てられたら狼になるんですよ。そんな動物いないですからね。いやいやマジ。別に理想論じゃなくて、状況によって人は変わる。環境によって人は生産性をいくらでも上げられる。1人の天才を入れるよりは、みんな1人1人もしくはチームの効率を上げる方が全然いいと思ってて、その為には今の新しい情報社会の中で何が重要かっていう大きなコンセプトが、この6つのポイントに落とし込まれているんです。

 

猪子代表

会社概要

チームラボ株式会社

チームラボ株式会社
所在地/東京都文京区本郷4-9-2
設立/2001年3月
従業員数/150名
資本金/10,000千円
http://www.team-lab.com/

サービス紹介

独自のアルゴリズム“オモロアルゴリズム”で「人の主観・興味を反映した検索結果」を抽出する新型検索エンジン「SAGOOL」

独自のアルゴリズム“オモロアルゴリズム”で「人の主観・興味を反映した検索結果」を抽出する新型検索エンジン「SAGOOL」。


チームラボの動画検索技術・レコメンド技術により、テレビのように動画を検索・流し見できるサービス「サグールテレビ」

チームラボの動画検索技術・レコメンド技術により、テレビのように動画を検索・流し見できるサービス「サグールテレビ」。

プログラマー、ネットワークエンジニア、デザイナー、ロボットエンジニア、建築家、CGアニメーター、数学者など、様々なスペシャリストからチームが構成され、テクノロジー、アート、デザインの境界線をあいまいにしながら、ウェブか らインスタレーション、ビデオアート、ロボットなど、メディアを超えて活動する「TEAM-LAB.NET」の作品が紹介されています。

プログラマー、ネットワークエンジニア、デザイナー、ロボットエンジニア、建築家、CGアニメーター、数学者など、様々なスペシャリストからチームが構成され、テクノロジー、アート、デザインの境界線をあいまいにしながら、ウェブか らインスタレーション、ビデオアート、ロボットなど、メディアを超えて活動する「TEAM-LAB.NET」の作品が紹介されています。

経営者に聞く 一問一答

問)ご自分はどういう性格でいらっしゃいますか?

 すごい明るい明るい。本当このまんまですよね何処行っても。感情に素直。

問)ご自分の強みは?

 何ですかね、常識が欠落してること。

問)ご自分の弱みは?

 ちょっと感情的すぎる。ちゃんとできない。

問)座右の銘は?

 友情、努力、勝利。少年ジャンプの3第原則です。もうジャンプすごい好きで、悟空とか超面白くて、友達がやられるじゃないですか。そうすると友達の為に努力するんですよ。それで、敵に勝つみたいな。友情、努力、勝利なんですよ常に。でも戦ったらまた友達。

問)これまでの人生で影響を受けた人物は?

 織田信長。

問)これまでの人生でもっとも影響を受けた本は?

 ジャンプ。(未だに読まれてるんですか?という質問に)それ人に息してますかって聞いてるようなもんですよ。

問) 最近読んだ本でこれ面白かったなというものは?

 ジャンプ。毎週オモロイ。ワンピースとかいいじゃないですか。

問)情報のソースはどんな媒体ですか?

 僕ほとんど情報を摂取しないんですよね。テレビ全く見ない、新聞全く見ない、ネットでも全く見ないですね。でも、同じようなオモロイことに興味を持ってる社内の人からメールが回ってくるから、情報は凄い流通してますね。まぁ基本的に昔から情報は自分から摂取はそんなしてなくて、自分の体感みたいな事の方が何か凄い重要。

問)最近感動した事はなんですか?

 パリでアート作品を展示したんですけど、結構おっきい作品で3メートルくらい、1個1個が高さ3メートル近くあって、そこの中の映像空間みたいな感じで、自分達が作った物が最終的に空間に配置されて完成した時に最終的にどうなるのかなんてわからなくて。でも出来上がって、自分達で体験して、それはすごい感動したし、ヨーロッパの人も感動してくれて、それはまぁ一応嬉しかったかな。

問)今後の夢は?

 毎日オモロイ人が回りにいて、ヤバイ事考えて、それが社会にアウトプット出来て、社会にヤバイって言われる日々を重ねていきたい。で、もっともっと大きい事が出来たらいい。




 <取材を通して>
「みんなの仕事場」オープンからさかのぼること1年くらい前だったでしょうか。
チームラボさんのオフィスをはじめて訪ねた時に驚かされたことを今でも鮮明に覚えています。
たくさんのお金をかけなくてもアイデアと創造性にあふれた空間、経営者・働く人たち・働き方・提供サービス・企業活動などなど、そのすべてが新鮮でした。「次世代のワークスタイルとオフィスを発見したぞ!」という事をみんなに伝えなければという強い思い込み?ある種の啓蒙活動にも似た使命を感じさせたのです。これ事実です。
この出会いがなければ「みんなの仕事場」は誕生しなかった!と言っても過言ではいほど、様々なアイデアと刺激をいただいたチームラボさんに感謝しています。
(取材/執筆:運営事務局)

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